李轂摩(Lee Ku-mo) について

◆◆郷土を愛する優しさとユーモアに溢れた芸術家◆◆

南投縣写真 台湾南投縣草屯鎮−山水に寄り添い、のんびりとした雰囲気、緑の鏡が幾重にも広がる段々畑、傍らの小さな野菜畑と元気に跳び回る鶏や鴨、このような環境から芸術的息吹を嗅ぎ取ることは難しくありません。霊気ある土地からは傑出した人物が生まれると言われます。この都会から離れた、万物の精気に溢れる場所が芸術家・李轂摩の居所です。

 李轂摩は元の名を国謨といい、1941年に生まれました。農家に生まれ育った彼には輝かしい家庭背景はなく、書画の血筋もありません。純粋な興味から早年に師の教えを受け、一芸を磨き続けました。彼は独学で成功した画家です。彼の作品には学校で教わるような束縛や飾りが見られません。画面に表現された通俗的なモチーフからはユーモアが伝わり、含蓄のある言葉が添えられています。咀嚼して味わってみると人生の哲理がわかるだけでなく、つい可笑しくもなり、一種の平淡な美と含蓄のある生命力というものを教えてくれます。

李轂摩写真  李轂摩は、弛まずこつこつと刻苦精励する芸術家です。彼の作品は本人の気さくさと同様に近づきやすく、創作理念もわかりやすく、伝統と現代とを融合させています。作品を総覧すると、主に台湾の郷土風情を題材にしたものが多いです。日常生活の中から材を採り、作品中の濃厚な人情味が見る者に平穏で親切な気持ちを起こさせますが、決して個性をなくしてはいません。彼は生活と芸術とは緊密に結びつくべきだと主張して、人が見てわからない絵は描かず、悲観的な色彩のものも好きではありません。彼は常に人生の光明と喜びとを創作の理念としてきました。

 李轂摩の創作は墨彩・水墨画、書道、彩瓷(染付け)と壺彫刻に類別され、平面立体ともに運用自在で、時流にも遅れることがありません。「不二斎」を仕事場とし、現在は芸術の仕事に力を入れる一方で、積極的に地方の文化事業にも参加しています。創作にこだわり、文化事業に熱心で、私欲がなく、度量が大きく、楽天知命の性格で、李轂摩は台湾芸術界の奇才といえます。彼の庶民的な芸術スタイルをみなさまにご紹介しながら、展覧によってその作品の中から李轂摩の台湾への郷土愛と芸術精神とを感じていただければと思います。




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